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2008年5月 7日 (水)

GWに読んだ本「歴史人口学で見た日本」

速水融著「歴史人口学で見た日本」(文春新書)。

歴史人口学というのは「宗門改帳(しゅうもんあらためちょう)」のような古文書をミクロ分析する人口学。

これは秀吉の時代にキリスト教弾圧のために寺に証明させた審問書です。

フランスのルイ・アンリという学者がキリスト教会の教区簿冊(きょうくぼさつ)を分析したのがはじまりだとされています。

イギリスでは1537年から始まって、フランスでは1640年頃からのものが残っているらしい。

面白いのは、都市では死亡率が高くて農村から奉公に来ていた人がバタバタ死んでいること。武士と違って農民は関所とかで止められることはなかったので往来は自由だったようです。

この出稼ぎは結婚年齢を引き上げ、出生率を下げる効果があったようです。

間引きとかもありましたが産児制限だったよう。

小作人などの低階級から都市に移動し、死んでしまうので断絶する家が出る。

そうすると大地主や庄屋などからの分家が入る余地ができる。

このサイクルがうまく回ったそう。

だから徳川時代には人口は安定的でした。

でも地域によって増加と減少はあって、北関東あたりは減って、北陸などでは開墾などで人口が増えたそうです。

つまり全国的には一定のように見えますが、地域間の移動はかなり多かったようです。

それから諏訪のある村の研究では、小規模農家への変遷で世帯数4.5人になってゆき、それが年ごとに伝播していったという話。

この歴史人口学の面白いところは、これまでの歴史とか教科書が都、武士とか制度、戦争の歴史であったのに対して、農村、農民、生活の話だから。

鬼頭宏著「人口から読む日本の歴史」(講談社学術文庫)は弟子によるもの。

細かいデモグラフィック情報がわかってたいへん面白かった。

何でも日本は過去4回ほどの人口減少期があって最近のが初めてでないこと。

大雑把に言うと文明そのものが変わるような変革期にあたる。

特に室町などは日本人が「変わった」らしい。

ところで杉亨二(すぎ こうじ)という適塾出身の人物が日本における人口統計の父なのですが、彼は何としても国勢調査をやりたかったそうです。

宗門は明治4年まで続き、戸籍調査(明治5年の壬申戸籍)はあったのですが人口調査はなかったのです。

そこでパイロット的にやったのは山梨県でした。

1879年(明治12年)12月31日現在の「甲斐国現在人別帳」で印刷刊行されました。

つまり日本最初の人口調査は山梨県のものということになります。

これは復刻版も出ているそう。

1900年には世界的に国勢調査をやることになったのですが日本は間に合わず。日露戦争で次もできず。結局1910年もできませんでした。

杉は1917年に亡くなってしまいました。

最初の国勢調査は1920年(大正9年)10月1日でした。

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