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2009年2月 7日 (土)

北欧型高福祉国家の負の面も見よ

最近の労働者、生活格差、少子高齢化、年金、医療、教育、環境といったたくさんの問題に対してスウェーデンなど北欧の国が注目されています。

高い税金の代わりに高福祉の国として知られています。

戦後、英米をお手本にしてきた日本としてもヨーロッパから学ぶものはないか、ということでしょうか。

英米がこけちゃったから。

たしかに共産主義や社会主義ではなく弱肉強食、市場原理でもなく、ここがあるじゃないかということでしょう。

なお、これを「第三の道」と表現する向きもあるけどこれは間違い。「第三の道」は、新自由主義(小さな政府)と社会民主主義(大きな政府)でもない目指すべき方向のことです。

僕も一昨年あたりから興味を持ってチョコチョコ調べてきました。

今週もテレビ朝日の玉木さんが3日連続でスウェーデンの政治や社会システムを特集し、かなりバラ色に報じていました。

テレビのコメンテーターたちも少し疑いつつもかなり興味を持っていた感じでした。

あまり手厚い保護をすると労働意欲やインセンティブが失われるのでは、という懸念を心配していたようです。

玉木さんは「それは3日目にやります」ということでしたが、あまり突っ込まず視聴者としても納得のいく3日目でありませんでした。残念。

結局、バラ色礼賛に終始して「何か裏があるだろう」という疑念を持つばかり。

あるいは「何故、北欧はこういう福祉国家に至ったのか」「国民は何故それを選択しなければならなかったのか」「どういうプロセスで政治が動いてできたのか」「そんなにバラ色ならどうして他の国はマネしないのか」と疑問は増すばかりでしょう。

まあ朝日なのでそちら寄りなのは仕方ありませんがね。

でもここは学ぶべきは学ぶ必要があります。頭を下げてでもね。

そうお感じの皆様に本をご紹介したいと思います。

小澤徳太郎著「スウェーデンに学ぶ『持続可能な社会』」(朝日選書792)。

この本は少子高齢化、環境問題という2つの大きな問題に対してスウェーデンがどういうビジョンを持って取り組んでいるのか、ということについて書いてあります。

著者によると「経済成長」が間違いだそうで、僕たちにはさっぱりわかりません。

もしかしたら正しいのかもしれませんけど中々転向できない僕です。

ですから読んでいて正直苦痛です。

お勧めしたいのは、武田龍夫著「福祉国家の闘い スウェーデンからの教訓」(中公新書1575)

北欧礼賛や視察にきてバラ色の面だけ見て帰る日本人に真実の裏側を教えてくれます。

やはり行政の無駄がおおく官僚化が進む。

官僚が肥大化して息詰まるような役人天国。

経済の停滞が深刻で高福祉政策が行き詰まりを見せている。

家庭崩壊がすごい。

スウェーデンの中立主義は隣国さえ見殺しにするエゴイズムで内外からの批判が多い。

その中立も実は二枚舌的なしたたかさを備えているのはバレている。

でも戦争に巻き込まれなかったので社会資本は蓄積した。

スウェーデン人の暗さ、おもしろくなさ、無口、人見知り、付き合いの悪さ、ユーモアゼロ。

ビジネスでも議論がなく、決定が遅く、過度に慎重、冗談がなく、硬く退屈で、それでいて自尊心だけは高い。

天然資源、特にエネルギーが足りないので工業化が決定的に遅れてしまった。

製品も表向きはよく、信頼もあるが面白くない。

当然国際競争力は弱い。企業の国外脱出。

勤労意欲の低下。貯蓄の意欲をそぐ。

サービスの画一化。

強烈な個人主義で、母親さえ子供をうとんじる。だから老人で子供と住むことはない。

女性は強い。社会進出は高いと言われているけど役員や議会ではやはり少なくストレスを生んでいる。

独身世帯が多く、飲みにいくこともない。結婚も少ない。

だから自殺、アルコール依存症が多い。

ストレスを感じる人が大多数。

鬱、自己破壊、不適応など精神の病が多い。

他人との関係も冷たいの一言。

過剰福祉で、特に若者の倦怠感、薬物中毒が急増。

地下経済の暗躍。

現実主義でプラグマティストである。

平等と公平に対する強い欲求。

自然賛美で散歩が好き。フリーセックスもここからくる。

差別はほとんどない。

でも約40年にわたる強制不妊手術発覚しました。これは知的障害者などに対してでした。

清潔できれい好き。

礼儀正しく機能的なデザインが好き。

福祉施設など機能的で清潔でも「冷たい」のです。

リアリストで偏執的な好奇心が強いので自然科学に強い。

教育に力を入れてきました。

医師は優秀でも人間的な交流は全くなし。冷たい対応。

愛国心が強い。国旗が好き。

1932年から44年間社民党の長期単独政権でした。

もちろん国民総背番号制。

まあ、こうした国民性から福祉国家に至る疑問に答えてくれる。

それにしても犯罪が多く、自殺が多く、施設での虐待もあるとなると、歪みもかなりあるんだろうね。

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コメント

そうですよね。
最近は社民党のみならず自民党まで北欧を賛美していますが、日本を北欧のようにするのは反対です。

投稿: NJ | 2009年2月 9日 (月) 14時15分

合計特殊出生率がいくつかの先進国で回復してきています。アメリカは貧困層の出生率が高いから平均が高いのですが、フランスは1990年代後半からイギリスやスウェーデンは2000年前後から回復して2.0に近い。これは子育て制度をかなり充実したからだと言われています。http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1550.html
高負担がどこまでが許容範囲かは意見が分かれるところですが、少なくとも少子化問題はスウェーデンではもう解決されています。
出生率とか数字として結果が出てくるのは政策よりもずっと後ですから。

投稿: マディ | 2012年4月12日 (木) 10時17分

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